現況報告
2023年09月07日
ご支援いただいた皆様、前回の報告からかなり時間が経ってしまい、大変申し訳ございません。その間、修復作業は急ピッチで進んでおりましたので、これまでの経緯と現状を報告させていただきます。
この間の大きなトピックとしては、デハ側の正面裾の修復を行った事でした。ここは以前から内部の腐食で大きく凹み、裾のアールもつぶれて無くなっていました。
表面のパテと腐食した外板を剥がしてみると、中はこのように腐りきっていました。
これは外板を張り替えるしか対処の方法がなく、窓下からすべて張り替えとなりました。
大手術になりましたがこのように修復しました。裾のアールがきれいに戻りました。
次の問題点は側窓のレールが錆で膨張して窓が全く動かなくなっていることでした。これは放置するとその圧力で窓ガラスが割れる危険があります。
そこで、窓レールを取り外して窓を外し、膨らんだ錆を処理してから取り付けました。これにより、窓はスムーズに開け閉め出来るようになりました。しかしこの作業は数が多いため、膨大な時間と手間がかかりました。
これまでクハ側の屋根は雨漏りが少ないと言うことで後回しになっていたのですが、錆の垂れが激しくなってきたことから屋根布をはがしてみました。 やはりデハほどではないにしろ腐食はかなり深刻で、所々に穴が見られました。
錆を除去し、腐食孔を塞ぎました。
その後、防錆・断熱塗料を塗り、防水を完全にしました。
この塗料は5層塗りで強固な塗膜を形成するため、断熱だけでなく防水にも効果があり、また屋根用塗料に必要な鉄板の熱による膨張や収縮に追従する伸縮性があり、施工に手間はかかりますがそれだけのことはある優れた製品でした。
屋根塗装のためにベンチレーターを取り外しましたので、これも古い塗装を剥がして同じ防錆・断熱塗料を塗って仕上げておきました。
今回の作業では、ドアの動きが悪くなったのを修正するため、すべてのドアを外しました。この車両のドアは一度外すとなかなか元に戻せないと聞いておりましたのでどうなるかと思っていたのですが、やってみるとそれほどでもなく、ドア内枠を外せば結構簡単に取り外し、取り付けが出来ました。調整の結果、指一本で開け閉めできるくらい動きを軽くすることが出来ました。
ドアレールの水抜き穴も腐食で穴が空いていたので修理しました。
ほかにも腐食孔や裾アールの下側など無数のいたんだ箇所の修正に追われました。
今回は、まずクハ側を仕上げることを優先して作業を進めています。下地仕上げもかなり進んでおり、正面は鼻筋を通すためエッジをはっきりとさせるように仕上げました。仕上がり具合を見るためにサーフェーサーを塗ってみたところです。
側面もかなり進んでいます。裾の仕上げが済みもう少し進んだら、本塗装をしたいと考えています。
修復前のこのような状態に比べれば、かなり良くなったと思います。
これらの膨大な作業のため、なかなか仕上げが進展せず、皆様にお約束した中間報告会の日程が大幅に遅れて果たせず、大変申し訳なく思っております。中途半端の状態をご覧いただくよりも、時間を掛けてじっくりと仕上げた状態をお見せしたいと考えるため、今しばらくのご猶予をいただくことをお許しいただければと思います。